ナナイロのキセキ
安心したような、ふわっとやさしい瞳で見つめられる。
心臓がドキンと跳ね上がり、私は思わず目をそらしてしまう。
(なんだろう・・・おかしい・・・。ちょっと笑いかけられただけなのに。)
心臓が、ドキドキドキドキと壊れてしまいそうに音をたてる。
「あ、えーと・・・。じゃあ、とりあえず行こうか。」
呼吸を整えた坂下さんが、うつむいた私の顔をのぞきこむ。
「はい・・・。」
私は、恥ずかしくて、視線を合わせないまま返事をした。
歩き出した坂下さんの、半歩後ろをついていく。
目の前に見える広い背中。
改めて、こんなに背が高かったのかなと思う。
時々触れてしまいそうになる距離に、私の心臓は、相変わらず忙しく動く。
(本当に・・・、なんでこんなにドキドキするんだろう。)