ナナイロのキセキ
夕飯時になると、「ちょっと悩んだんだけど・・・」といいながら、

ホテルの最上階に位置する、和食料理の店に連れていってくれた。


(うう、またすごく高そうなお店なんですけど・・・。)


周囲をぐるっと竹垣で囲んだ、いかにも高級料亭という佇まい。

入り口の両脇にある池では、鮮やかな鯉たちがゆらゆらと泳いでいる。

外灯で施した光に照らされた店名の文字が、高級感を増していた。


(また、場にそぐわない恰好をしてるんですがっ。)


ワンピースはキャメルで落ち着いた色だけれど、丈が短くてふわふわと揺れる

フレアーは、高級感とは程遠い。


(ブーツにリボンもついてるし・・・子どもっぽいよね。)


坂下さんに合わせて大人っぽくしようかと思ったけれど、

そんな服は自分に全く似合わずがっかりした私は、

結局、自分の好みで精いっぱいかわいくしてきた・・・つもり。


(でも、やっぱり違う服にするべきだったかな。)


足を踏み入れるのに躊躇している私を見て、

坂下さんは笑顔で握っている手に少しだけ力を込める。

「また緊張させちゃうかとも思ったんだけど、個室だから大丈夫だよ。

周りは気にならないし。

・・・なるべく、二人でゆっくりできたらなと思って。」





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