私たち、政略結婚しています。
「な、…何が面倒なのよ」
どうしよう。
目に涙が溜まり始めてる。どうやって誤魔化したらいいんだろう。
私は彼とは反対の方を向いた。
その瞬間、あふれ出した涙が枕に流れ落ちた。
グイッ。
頭を回され克哉の方を向かされた。
「やっ…」
ばれちゃう。
克哉が好きだって、知られてしまう。
中沢さんのところに行ってほしくないの。ずっとこうしていたいの。
あんたをずっと前から好きだった。理由なんてどうでもいい。
私を好きではなくても、本当は別れたくなんかないのよ。
「こういうところが。…本当にややこしい奴だな、お前は。
一人で泣くくらいなら、初めから認めろ。
…俺が好きなんだろ?」
私はギュッと目を閉じて言った。
「…好きな訳、ない。嫌いよ」
私の言葉に克哉はクスクスと笑った。
「負けず嫌いも大概にしろよ。ま、佐奈らしいけどな」
言えないわ。
克哉を自由にしなければいけないの。
これが、私の愛の形だといつかあんたにもきっと分かる。