兄妹 恋々
騙されてるのでは?
そんな疑問が湧く。
ありえない。
私の家はどちらかというと貧乏。
狭いアパート暮らし。
母親とその理事長さんの出会いのきっかけすら思いつかない。
「母さん!騙されてるんじゃないのか?」
私より先に口を開いたのは兄だった。
私と同じ事を考えていたんだと思うと安心した。
「それはないわ。」
母親の目はいつにもまして真剣だった。
そして母は一呼吸おいてまた口を開いた。
「それでね、お願いがあるの。
今度の土曜日一度彼と会ってみてくれないかな…?」
母は少し気まずそうに笑いながら言った。
母は父が亡くなってから女で一つで育ててくれたんだ。
母だって不安だろう。
少しでも安心させてあげられればな…。
「淳兄、私は会ってもいいと思うな‼︎」
正直に答える。
「俺もいいと思う。まずは会ってみないとな…。」
母は嬉しそうにニッコリ笑った。
「ありがとう…‼︎」
母は嬉しそうだった、
母には幸せになってもらいたからね…‼︎
「あ‼︎そうだ。彼にもね双子の息子さんがいるんだって!
しかもつばきと同い年‼︎
同い年ってことは話も合うわね!」
ん?
同い年…って…16歳⁉︎
しかも、息子ってことは男?
しかも双子?
話が合うとかの前に、不安…。
私の頭の中はぐるぐるとよからぬことが回っていた。