叶わぬ恋の叶え方
「はい。これうちの苺シュー」
清水さんが自社の商品を見舞いに持ってきてくれた。社員は割り引き価格で買えるのだ。
「あー、これ好きなんだよねえ。ありがとう!」
咲子の会社の苺シュークリームは、本当の苺の粒が入っていてなかなか美味しい。純白の生クリームと苺の酸味が口の中で溶け合う逸品だ。咲子たちが誇りを持って作っている。
ペットボトルのホット緑茶を飲みながら、清水さんと一緒にシュークリームを食べる。
「美味しい」
「姐さんに喜んでもらえて良かった」
「すごくうれしい差し入れだよ」
清水さんはうれしそうな顔をする。彼女は正社員を目指しているので、ラインでも働き者の頼れる同僚なのだ。以前勤めていた会社が経営不振になって、彼女は昨年リストラされた。独り身の彼女は工場の仕事に活路を見出そうと必死で働いている。その姿に、咲子は数年前の自分の姿を重ね合わせた。
「丹羽さん、すいません」
そこに、低い声で咲子の苗字を呼ぶ声が聞こえた。
主治医が患者の様子を見にきたのだ。