叶わぬ恋の叶え方
医師は清水さんに軽く会釈をして、咲子のベッドの横に立った。
彼は咲子の体調をたずね、それから今後の治療方針を確認した。
「あ、シュークリーム」
去り際に医師がつぶやいた。
「あ、こういうの食べちゃダメでしたっけ?」
咲子がちょっと慌てる。確か食事制限はそんなになかったはずだ。
「いえ、そんなことはありません。ただ、僕もそれ好きなんです。C社の苺シュークリーム」
包み紙で銘柄がわかる。
縁無し眼鏡の奥で、彼の目が笑っている。声がとっても柔らかい。
「そうですか。実はそれ私が勤める会社の商品なんです。同僚が持ってきてくれまして」
「確か丹羽さんは工場勤務でしたよね」
「はい」
彼は再び静かに会釈をすると、病室を去った。