チェンジ type R
 この隼人くんの幽霊、少ししか会話をしていないがかなり強気な性格っぽい。
 売り言葉に買い言葉になってしまわないように、口に出す言葉は少し選んでみた。
 鏡の前で口論している場合じゃない!

(何だよ!? 『お互いにゆっくり話をしてる場合じゃない』って!?)

――あれ?私、声に出してた?

(声に出すも何も……ハッキリと言って……って! おい! ――っ!!!)

 いや、この際どっちでもいいことだ。
 声に出ていようがいまいが、そんなことは私の命には関わりない。
 鏡に背を向け、隼人くんの鞄を持ってドアの方に向かう。

――あれ?声が聞こえなくなった。

 さっきまでハッキリと聞こえていた隼人くんの声、それがいきなり聞こえなくなった。
 鏡で隼人くんの姿が見えていたことが関係してるのかな?

 うーん……理屈はよく分からないけど。

 そんなことは今はどうでもいいのだ。
 一刻も早く、私は私の身体の無事を確認しないと!!
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