チェンジ type R
 まるで見知らぬ裏道をトボトボと歩く。
 全く知らない道なので本気で当ても無く、という言葉がピッタリだ。
 見事に私を裏切る結果になった野生のカンにはなるべく頼ることなく――ただ、細い路地を避けて歩くだけなのだが。
 それでも目的地である駅に近づけているという感覚はまるで無い。

――出来るだけ急いだ方が良いんだけどね……。

 自分で自分に『何をやってんだか』という気疲れによって、小さなため息を一つ吐き出してその場に立ち止まった。
 本当に少しでも早く自分の身体の無事を確認しなければいけないのに。
 何で……いきなり大通りから横道に入ってしまったのだろうか?

 隼人くんが住んでいるマンションから出て、その入り口は少し大き目の通りに面していたのだ。
 今さらこんな事を言っても仕方ないとは思うが――恐らくその道を歩いていれば駅にたどり着けたのではないだろうか?
 なのに……その時、私は『この道を通れば近い』と直感的に感じてしまったのだ。

 そして……その直感が見事に外れたおかげで裏道をトボトボと歩くハメになったワケで。
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