負け犬も歩けば愛をつかむ。
ふわふわするけれど意外と走れるものだ。興奮状態ってすごい。

そんな、妙に冷静なことを頭の隅っこで考えながら、小降りになった雨の中駐車場へ向かう。

自分の車に乗り込むと、ハンドルにもたれて大きく息を吐いた。


意地張っちゃって、本当に可愛くないな私……。

もっと素直にすがれば良かったんだろうか。それすらもわからないよ。


伝票やノートはそのまま置いてきてしまった。残りの作業は明日の朝早く来てやるしかない。

明日の朝ではギリギリになってしまうから、出来れば今日中に終わらせて安心したかったのに。

……って、自分の体調管理も出来ないくせに何言ってるんだか。



「ほんと、情けない……」



こんなんじゃ、間違いなく椎名さんに呆れられてるわよ。

不甲斐なくて、悔しくて、じわりじわりと溢れ出る涙を拭いなら車を走らせた。



アパートに着くと一気に気が抜ける。

時刻はすでに十一時。おかゆすら作る気力もないけど、何か食べないと薬飲めないし……。

冷蔵庫にもすぐ食べれるような物ってなかったよな……とぼんやり考えていると、昨日買ったいちごミルクプリンを園枝さん達に無理やり持たされたことを思い出した。


バッグに入れっぱなしだった袋の中からプリンを取り出し、もうこれでいーやとスプーンを用意する。

そして食べようと口を開けた瞬間、テーブルの上でスマホが着信を知らせた。

< 209 / 272 >

この作品をシェア

pagetop