負け犬も歩けば愛をつかむ。
「一応相手はお客様だからね。不服に思うことがあっても、我慢する時はしなきゃいけない。今度何かあったら、言い合う前に春井さんや俺に報告して?」
「……はい、すみませんでした」
素直にペこりと頭を下げる水野くんに、椎名さんは表情を柔らかくして頷いた。
園枝さんと真琴ちゃんも、安堵の笑みを浮かべながら水野くんを慰める。
きっとこの後は、あの菅原さんについてのグチ大会になるだろうけどね。
私もランチ提供の手伝いをしようと、外して休憩室に置いたままだった帽子を取りに行こうとすると。
「春井さん、早いとこ俺達で専務に謝りに行っておこうか」
と、椎名さんに言われてはっとした。
「そうだ、大事なこと忘れてた」
「あんな騒ぎになっちゃったからね。すぐ専務の耳に入るだろうから、先に謝罪しとこう」
「ですね」
水野くんも行くと言っていたけれど、彼には厨房での仕事を優先してもらい、責任者である私と椎名さんで行くことにした。
こんなトラブルを起こしたのは初めてだから緊張するわ……。
でも、きっと大丈夫よね。頼もしい彼の存在はとても心強いから。
専務だって優しい人だもの、水野くんの心情も理解して大目に見てくれるはず。
そんな安易な考えを心の隅っこに抱きつつ、私は椎名さんと一緒に専務室へ向かった。
「……はい、すみませんでした」
素直にペこりと頭を下げる水野くんに、椎名さんは表情を柔らかくして頷いた。
園枝さんと真琴ちゃんも、安堵の笑みを浮かべながら水野くんを慰める。
きっとこの後は、あの菅原さんについてのグチ大会になるだろうけどね。
私もランチ提供の手伝いをしようと、外して休憩室に置いたままだった帽子を取りに行こうとすると。
「春井さん、早いとこ俺達で専務に謝りに行っておこうか」
と、椎名さんに言われてはっとした。
「そうだ、大事なこと忘れてた」
「あんな騒ぎになっちゃったからね。すぐ専務の耳に入るだろうから、先に謝罪しとこう」
「ですね」
水野くんも行くと言っていたけれど、彼には厨房での仕事を優先してもらい、責任者である私と椎名さんで行くことにした。
こんなトラブルを起こしたのは初めてだから緊張するわ……。
でも、きっと大丈夫よね。頼もしい彼の存在はとても心強いから。
専務だって優しい人だもの、水野くんの心情も理解して大目に見てくれるはず。
そんな安易な考えを心の隅っこに抱きつつ、私は椎名さんと一緒に専務室へ向かった。