君想い【完】


暑くて首筋に一粒、汗が垂れる。
ぴたりと張り付くワイシャツがうざったい。

下敷きで仰ぎながら、2人で歩く帰り道だけは僕のさりちゃんだ。

「ねえ、さりちゃんってさ榎本祥吾と付き合ってるの?」

「うん。何か夏休みに何回か遊んで、それでなんとなく。好きとかは今は分からないけど一緒にいると楽しいし、これから絶対の好きになると思う。」

僕の目をまっすぐ見て話すさりちゃんの顔は真剣だった。

「相手から?」

「なんかプール行った時の隣りのクラスのゆかりちゃんの告白の話をしてて、あのとき好きな奴いるってお前なんだよねー。みたいな。」

少し嬉しそうに話すさりちゃんはすごく可愛かった。
でもその可愛さが憎たらしさも呼び起こす。

左側だけにできるえくぼがにっこり笑うとはっきりでる。
幸せそうで。

「でも、2人はお似合いかもね。」

僕の言える精一杯の言葉。
他の言葉を口にしたら泣いてしまう気がした。



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