彼となら、   熱くなれる
ζ.揺れる想い
今年も夏山のシーズンがやってきた。

私、守口珠良は昨夏大学の山岳部のOBパーティーで南アルプスへ登った時知り合った、山岳警備隊の森下敬吾と親密な関係を持った。

都内のペットクリニックへ勤める獣医である私はこの夏に休暇を2週間取った。

獣医と言ってもローテーションで夜勤もこなした。

ペットクリニックにはペットホテルも常備されていたので、通常の診察以外にもかなりの労働力を要した。

サラリーはその分かなりよかった。

「珠良、今年もOBの登山なのか?」

「うん、毎年登ることになったの。」

私は8歳年上の兄とは、ある事がきっかけで禁断の仲になっていた。

兄が妹を抱くなどと世間が許すものではない。

父や姉、家族にも決して理解されないことだ。

私と兄は続いていた。

「兄さん、私は他の男性と愛し合うべきなの?」

「それが普通で、俺たちは異常なんだ。」

「兄さん以外の男性を愛せるかしら?」

「当たり前だろ?」

「そうかしら?」

「誰か気になるヤツがいるのか?」

「よくわからないの。」

「・・・・・」

< 51 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop