雪恋ふ花 -Snow Drop-

「春さん、どうしてそんなこと、話してくれたの?」

「うーん、珠ちゃんも同じなんじゃないかって、思ったから。彼氏といる時、あんまり幸せそうには見えなかったから」


気がつくと、珠の目から涙がこぼれていた。


「あ、いや、ごめん……。なんか、踏み込みすぎたよね」

春人がにわかに慌て始める。
でも、珠はくっと顔をあげると、春人をじっと見つめて言った。

「わたし……」

「うん」

「別れたの……賢ちゃんと」

「そう」

こんな時、なんと言って返せばいいのか、春人にはわからなかった。
気のきいた一言を言えるほど、春人は世渡り上手な性分ではなかった。


「ずっと話せなくて、ごめんなさい」

「無理して話さなくていいんだよ」


珠は大きく首を振った。

「春さんに聞いてほしいの」

「うん」

「賢ちゃんにはずっと言いたいこと言えなくて我慢してたの。でも、それがまちがってたって気づいて」

「まちがい?」

「そう、賢ちゃんにね、言われたの」


春人は黙って珠の言葉に耳を傾けていた。

「あの時、スキー場で置いて行かれた時、行かないでって一言言えば良かったんだって」

「うん」

「待ってくれてたんだって、下で。私、何にも見えてなくて。賢ちゃんの気持ちにも鈍感で」

「想いがすれ違ってたんだな」


珠はまたパタパタと涙を落とした。

「自分だけが被害者と思ってたの、ずっと。何もかも賢ちゃんのせいにして」

「……」

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