雪恋ふ花 -Snow Drop-

気がつくと春人は立ち上がって、珠を背中から抱えこんでいた。

「思いっきり、泣いたらいい」

春人の胸に顔をうずめると、珠は激しく泣き出した。
春人の手が、いつかみたいに背中をぽんぽんと優しくたたいている。


どれくらいの時間そうしていたかわからない。
春人の腕の中はあたたかくて、ずっとこのままいたいと珠は思った。



「春さん」

珠は涙に濡れた目で見上げた。


「ん?」

春人の声はどこまでも優しい。






珠がすっと首を伸ばして、春人の肩に手をつくと、唇に触れるだけのキスをした。






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