雪恋ふ花 -Snow Drop-
珠は幸せな気持ちで家に帰ってきた。
早く部屋に入って、あの写真集をじっくり眺めたいと思って、急いで玄関のドアを開けた。
すると、そこには自分は絶対に履かない、真っ赤なパンプスが置いてあった。
まさか、そんなはずはない。
嫌な予感を打ち消すようにドアを開けると、自分のベッドの上に、賢と見知らぬ女性が座っていた。
「また出かけてたのか、あいつと。今日は帰らないのかと思った」
「人の部屋で何してるの?」
どこからそんな声が出たのかわからない。
けれども、もう止めることはできなかった。
この4年間、ずっとためこんでいたものが一気にあふれだした気がした。
「鍵、返して。早く出てって。 二度と来ないで!」
珠は一息にまくしたてた。
一緒にいた女性は険悪な雰囲気にそそくさと部屋を出て行った。