雪恋ふ花 -Snow Drop-
高速のサービスエリアで温かい卵とじうどんを食べて、珠は生き返った心地がしていた。
ここも春人の行きつけの店だという。
お土産売り場の片隅にあるイートインコーナーだったが、専門店と同等レベルのおいしさだった。
春人はあんまりしゃべらない。
それでも沈黙が苦痛ということはなかった。
車に戻ってからは、お互いの学生時代や友達のことなどを話した。
珠は仕事も、年齢も、住んでいる場所もプライベートに関することは一切、聞かなかった。
自分という人間を知るのに、肩書きや所属といったものはまるで関係ないとでも言うように。
その距離感が、春人にはとても心地良かった。
そんな珠だから、気兼ねなく、こんなふうに話せるのだと思った。
車はどんどん関西に近づいていく。
珠はこのままどこまでも春人と走り続けられたらと、ふとそんなことを考えていた。