雪恋ふ花 -Snow Drop-
翌週の土曜日の朝、珠は人工スキー場行きの直通バスが出る駅に立っていた。
しばらくして、春人がやってくる。
「あれ? 帽子、変えた?」
珠の新しいニット帽に春人が目ざとく気がついた。
「耳あてついてて、あったかそうだな」
そう言って、耳に垂れ下った半円形の部分をさわる。
「もしかして、これ手編みだったりする?」
「あ、うん」
本当に、どうしてこういうことに気がつくんだろ。
「珠ちゃんが作ったの?」
「うん」
珠が恥ずかしくなって下を向いてると、春人が感心したように言った。
「すごいな、こんなの編めるなんて」
「簡単なメリヤス編みだし」
「いや、すごいよ。糸の風合いもいい。ね、ちょっと見せて」
春人がすぽんと帽子を取った。
「あ」
しばらく手に取って見てから、また珠の頭にそっとかぶせる。
かぶせたあとに髪の毛まで整えてくれて。
珠はこのやりとりにすっかり赤面していた。
どうしようかと困っていると、やっとバスが来た。