雪恋ふ花 -Snow Drop-
夕方、仕事を終えて、春人は途中下車した大きな文具店で、仕事に使うファイルやノートを調達していた。
文具店の入っているファッションモールの前は冬のイルミネーションで華やかな雰囲気に飾られている。
閉店間際とあって、行き交う人もまばらだ。
立春を過ぎたというのに、夜になるとまだまだ冷え込む。
春人は店の中との温度差に身を震わせながら、駅へ向かっていた。
アーチ型のイルミネーションの一番端に、小柄な女性がぽつんと立っていた。
近づくにつれ、それが見慣れた後姿であることに気がついた。
「あ」
「よく、会いますね」
珠が微笑みながら言った。
「春さんは、お買い物?」
「ああ。おまえは?」
「私は……。そろそろ帰ろうかなと思ってたところ」
「え?」
「イルミネーションがきれいだから、ずっと見てたの」