風の放浪者

「ところで、この辺りに埋まっているのかな? いやー、ほら何というかこの場所に似合うだろう」

「何が?」

「言わなくてもわかるだろ?」

 満面の笑みを浮かべながらそのように告げるエリックに対し、ユーリッドは珍獣を見つけたような表情を浮かべてしまう。エリックの言葉が示しているのは、ひとつしかない。

 白く硬い物体。

 しかし、それは笑って言える物ではない。

 何より、不謹慎で罰が当たってしまう。

「ただの軽い塊だよ」

「そ、そうですか……」

 白く硬い物体が見つかった場合、鷲掴みにしている可能性が高い。

 そして「このような物が見つかった」と笑顔で差し出す。

 想像しただけで、ユーリッドの背中に冷たいものが流れ落ちた。

「見付けても、おかしなことをしないで下さいね。それは、冒涜に等しいです。それに、呪われたくないです」

「ははは、その言葉は違う意味で使おうね」

「そうですけど、貴方もそうなりかねませんよ。そのようなことを言っていると、可能性として有り得ます」

 そう言うと手を差し出し、エリックに渡した手記を返すように行動で示す。

 渋々ながらそれに従うエリックの表情は、どこか残念そうであった。

 どうやら書かれている内容を研究したいようだが、ユーリッドはそれを許さない。

 彼に手記を手渡したままだと、無くす可能性が高いからだ。

「で、改めて聞きますが呼んだ理由は?」

「遺体を探す」

「遺体?」

 瞬時に返された疑問にエリックは頭を掻きつつ、理由を話しはじめた。

 エリックの母方は、代々優秀な学者を輩出している家系だという。

 そして、神話の真実について研究をしていた。そう、この場所で。

「だから、遺体を――」

「そういうことになるかな。火事と聞いて、遺体が何処かに埋まっていると探していた。だが、見付からない。仕方ない、時間が経ちすぎている。まさか、骨も見付からないとは……ね」

「ひとつ質問をしていいですか? 貴方と出会ったのは、偶然ですか? それとも必然と言った方がいいのでしょうか。その他に、僕に付き纏っていた理由も聞きたいです。勿論、冗談を抜きで言って下さい。貴方の場合、本気と冗談を一緒に言うことが多々ありますので」
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