天使のアリア––翼の記憶––
「貴方は自分の力を使わずに、武器などというものを使うのですか。貴方は息子同様、超能力者のはずなのに」

「…貴様など、これで十分だ」

彼は環を睨みつけていた。

そして引き金を引こうとしたが、拳銃もろとも吹き飛ばされた。

父親が攻撃されているというのに、デューク先輩は立ち尽くしてぼうっと父親が倒れていく様を見ていた。

その目に焦りも苦痛もなく、むしろ彼が倒れることを望んでいるかのようだった。

環は倒れた彼を見下して言った。


「分かりましたか。貴方は私を倒すことはできない」


「クソが!」

環は右手を彼にかざした。すると環の月のような黄金の目が輝きだした。

その光はホールを包み込んだ。

あまりの眩しさに私は腕で目を覆った。


しばらくして光が消えて辺りを見渡すと、竹取会のトップだと言った彼だけに異変が起きていた。


「…な、にを、した…!」


鋭い刃物のような視線で環を睨みつけている。

環は平然とした態度で答えた。


「貴方に動かれると困るので、一時的に貴方の動きを止めさせていただきました」

そして環は言葉を続けた。

「その瞳の黄金は、超能力の力の源。けれど貴方には力が殆ど残っていない。…力を使い果たしたのですね。それも1度に」

彼は目を逸らして彼は舌打ちをした。


「…その通りだ」


彼は瞳を閉じて言った。


全ては願いを叶えために、と。


「禁忌を犯してでも叶えたい願いがあった。そのために出来る限りの事をしただけのこと。その代償として力を失おうが、関係なかった。

あいつの笑顔をもう1度見れたらそれで良かった」


彼の彼自身の願いに対する思いの強さは、デューク先輩のそれに似ていた。

何があっても、何を犠牲にしても、叶えたい。

雰囲気は全く違うけれど、彼らは確かに親子だと思った。


彼は目を開けた。

「しかし、私は気付いた」

その瞳に、恨み、憎しみ、悲しみが混ざった、苦しい色を映して。
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