隠れ俺様は壁ドンで愛を囁く
悲しげに眉を下げた先輩は──

「ちょっ、待…っ」

目を伏せて近づいてきた。

「先輩…っ」

“ホントに待って”

そう、言おうとしたのに。

「ん…っ」

出てきたのは、自分でも驚くほどの甘い声。

後ろには壁。

目の前には先輩の度アップ。

──逃げられない、小さな檻のなか。





「せ…っ、んん…」

やめてほしいのに。

言おうとする言葉はすべて、先輩に呑み込まれていく。

段々、段々。

深い海のなかに溺れていく。

「やっ…」

首を振って一度は逃れる。

でも、先輩がそれを易々と逃がすわけがなく、私の後頭部に手をそえて、さらに深く口づけてくる。
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