小咄
「待て! いや、私は無理だということはわかる! 本来なら私がソファで寝るところだが、それは深成ちゃんが許さないだろう。ということで、君がソファで寝るべきだ!」
こういう方法もあるのだ。
ソファを使えば皆それぞれ別で寝ることが出来る。
そしてソファで寝るのは、健康である男が適任だ。
だが当然そんなこと、真砂が承諾するはずもなく。
「何で俺が、わざわざ自分のベッドを空け渡さにゃならんのだ。てめぇがソファで寝るべきだとわかっているなら、どんな状況だろうとそうすりゃいいだろ」
「駄目だよぅ。六郎兄ちゃん、熱があるんだよ? お布団もないのに、悪化しちゃうじゃん」
そこは六郎の言う通り、深成が許さない。
が、真砂だって譲らない。
「知ったことかよ。真冬でもないんだから、一晩ぐらい耐えられるだろ」
堂々巡りに、深成は、うもぅ、と頬を膨らますと、真砂の腕から逃れ、ててて、とソファに駆け寄った。
「じゃ、わらわがソファで寝る。なら六郎兄ちゃん、文句はないでしょ?」
珍しく、ちょっと怒ったように言う。
六郎は焦った。
どうやら深成は、六郎のほうに腹を立てているようだ。
六郎としては深成を守りたい一心だったのだが、深成からしたら、駄々をこねているようにしか見えなかったのだろう。
真砂はともかく、深成は男二人の根底に流れる微妙な感情というものがないのだから、当然といえば当然だ。
「い、いや……。そうじゃないんだよ。あの……」
何と言えばいいものか。
男と寝ることはよろしくない、と言ったところで、状況は変わらない。
でも深成をソファで寝かすのは可哀想だ。
この深成が、布団もないままソファで寝なければならないなど、想像しただけで泣けてくる(大袈裟)。
「いいから。このままじゃ、夜が明けちゃう。気にしないでいいよ。わらわ、結構どこでも寝られるから」
言いつつ、深成はソファにすとんと座ると、ぬいぐるみと共に、ころりと転がった。
やってしまった、と後悔にさいなまれる六郎に、真砂はちらりと目をやった。
そのいかにも見下した視線が、六郎の傷をさらに抉る。
真砂は何も言わず、そのままソファに近づいた。
そして、がばっと深成を抱き上げる。
「んにゃっ?」
「そんなところで寝たら、どっちにしろお前も風邪引くだろ。意地張ってねぇで、大人しく来い」
深成を抱き上げたまま、真砂はさっさと部屋に向かう。
すでに眠くなっているのか、深成は真砂の腕の中で、大人しく丸まっている。
その状態のまま、六郎の前を通過した。
「……」
止めたいが、これ以上口を出せば、ますます深成に嫌われてしまいそうだ。
それに、引き留めたところで、どうすることもできないのだ。
出そうになる腕をぐっと押さえる六郎の目の前で、真砂の部屋のドアは閉められた。
こういう方法もあるのだ。
ソファを使えば皆それぞれ別で寝ることが出来る。
そしてソファで寝るのは、健康である男が適任だ。
だが当然そんなこと、真砂が承諾するはずもなく。
「何で俺が、わざわざ自分のベッドを空け渡さにゃならんのだ。てめぇがソファで寝るべきだとわかっているなら、どんな状況だろうとそうすりゃいいだろ」
「駄目だよぅ。六郎兄ちゃん、熱があるんだよ? お布団もないのに、悪化しちゃうじゃん」
そこは六郎の言う通り、深成が許さない。
が、真砂だって譲らない。
「知ったことかよ。真冬でもないんだから、一晩ぐらい耐えられるだろ」
堂々巡りに、深成は、うもぅ、と頬を膨らますと、真砂の腕から逃れ、ててて、とソファに駆け寄った。
「じゃ、わらわがソファで寝る。なら六郎兄ちゃん、文句はないでしょ?」
珍しく、ちょっと怒ったように言う。
六郎は焦った。
どうやら深成は、六郎のほうに腹を立てているようだ。
六郎としては深成を守りたい一心だったのだが、深成からしたら、駄々をこねているようにしか見えなかったのだろう。
真砂はともかく、深成は男二人の根底に流れる微妙な感情というものがないのだから、当然といえば当然だ。
「い、いや……。そうじゃないんだよ。あの……」
何と言えばいいものか。
男と寝ることはよろしくない、と言ったところで、状況は変わらない。
でも深成をソファで寝かすのは可哀想だ。
この深成が、布団もないままソファで寝なければならないなど、想像しただけで泣けてくる(大袈裟)。
「いいから。このままじゃ、夜が明けちゃう。気にしないでいいよ。わらわ、結構どこでも寝られるから」
言いつつ、深成はソファにすとんと座ると、ぬいぐるみと共に、ころりと転がった。
やってしまった、と後悔にさいなまれる六郎に、真砂はちらりと目をやった。
そのいかにも見下した視線が、六郎の傷をさらに抉る。
真砂は何も言わず、そのままソファに近づいた。
そして、がばっと深成を抱き上げる。
「んにゃっ?」
「そんなところで寝たら、どっちにしろお前も風邪引くだろ。意地張ってねぇで、大人しく来い」
深成を抱き上げたまま、真砂はさっさと部屋に向かう。
すでに眠くなっているのか、深成は真砂の腕の中で、大人しく丸まっている。
その状態のまま、六郎の前を通過した。
「……」
止めたいが、これ以上口を出せば、ますます深成に嫌われてしまいそうだ。
それに、引き留めたところで、どうすることもできないのだ。
出そうになる腕をぐっと押さえる六郎の目の前で、真砂の部屋のドアは閉められた。