小咄
部屋に入ると、真砂はベッドに深成を投げ出した。
抱いていたぬいぐるみと一緒に、ぼすん、と跳ねて、深成は薄目を開ける。
しばし、じぃ、と真砂を見、やがてうにゃうにゃと、ぬいぐるみに顔を擦り付けた。
「……もぅ、六郎兄ちゃんも我が儘なんだから」
ぼそぼそと言う深成に、ばさ、と毛布を被せ、真砂は部屋の電気を落とした。
そして、さっさと自分も横に滑り込む。
「あいつのあの性格じゃ、お前の相手は疲れるだろうな」
深成のすぐ横で、真砂が言う。
「何で?」
言いつつ深成は、よいしょ、と真砂に引っ付いた。
真砂が少し身体を深成のほうに向けると、深成はいそいそと、さらに真砂にくっついてくる。
「何だよ、何でそんなにくっつく」
「だって、何かわらわ、真砂の近く、好きなんだよね。安心出来るっていうか」
無邪気にぺとりと引っ付いてくる。
同じように引っ付いてくるといっても、千代と深成では、こうも違うのか、と言うほど、男側の感じ方が違う。
ただ、千代は目的がはっきりしている分わかりやすいが、深成のほうが難しい。
「男に引っ付いて安心出来るなんて、下手すりゃ単なる尻軽だぜ」
とはいえ深成はいくら引っ付いてきても、いやらしさというものは皆無なのだ。
子供が甘えるというよりも、子犬がじゃれてくる、という表現がぴったりだ。
故に、その気も起きない。
「失礼なっ。そんなんじゃないもん! 男に引っ付いて安心するんじゃないの。真砂がいいんだもん」
誰でもいいわけじゃないもん、と拗ねる深成を、真砂は微妙な表情で見た。
そして、きゅ、と抱き締めてみる。
深成は特に抵抗しない。
「ちょっとあいつに同情するぜ」
ぼそ、と聞こえた声に、深成が視線を上げた。
「保護者気取りで必死にお前を守ろうとしてるようだが、当のお前がこれだ。報われないよなぁ」
「六郎兄ちゃんは、小さい頃からずっとわらわの面倒見てくれてたから、ほんとのお兄ちゃんみたいなもんなんだよ。頼りになるし」
「……あいつはそうじゃないみたいだがな」
言いながら、真砂は腕に力を入れる。
深成が、ちょっと暴れた。
「ちょ、ちょっと真砂。ちょっと離して」
少し真砂が腕を離すと、深成はくるりと背を向けた。
そして、ぺと、と背中を真砂の胸に引っ付ける。
「うん、ジャストフィット」
ちらりと振り向き、にこりと笑う。
抱いていたぬいぐるみと一緒に、ぼすん、と跳ねて、深成は薄目を開ける。
しばし、じぃ、と真砂を見、やがてうにゃうにゃと、ぬいぐるみに顔を擦り付けた。
「……もぅ、六郎兄ちゃんも我が儘なんだから」
ぼそぼそと言う深成に、ばさ、と毛布を被せ、真砂は部屋の電気を落とした。
そして、さっさと自分も横に滑り込む。
「あいつのあの性格じゃ、お前の相手は疲れるだろうな」
深成のすぐ横で、真砂が言う。
「何で?」
言いつつ深成は、よいしょ、と真砂に引っ付いた。
真砂が少し身体を深成のほうに向けると、深成はいそいそと、さらに真砂にくっついてくる。
「何だよ、何でそんなにくっつく」
「だって、何かわらわ、真砂の近く、好きなんだよね。安心出来るっていうか」
無邪気にぺとりと引っ付いてくる。
同じように引っ付いてくるといっても、千代と深成では、こうも違うのか、と言うほど、男側の感じ方が違う。
ただ、千代は目的がはっきりしている分わかりやすいが、深成のほうが難しい。
「男に引っ付いて安心出来るなんて、下手すりゃ単なる尻軽だぜ」
とはいえ深成はいくら引っ付いてきても、いやらしさというものは皆無なのだ。
子供が甘えるというよりも、子犬がじゃれてくる、という表現がぴったりだ。
故に、その気も起きない。
「失礼なっ。そんなんじゃないもん! 男に引っ付いて安心するんじゃないの。真砂がいいんだもん」
誰でもいいわけじゃないもん、と拗ねる深成を、真砂は微妙な表情で見た。
そして、きゅ、と抱き締めてみる。
深成は特に抵抗しない。
「ちょっとあいつに同情するぜ」
ぼそ、と聞こえた声に、深成が視線を上げた。
「保護者気取りで必死にお前を守ろうとしてるようだが、当のお前がこれだ。報われないよなぁ」
「六郎兄ちゃんは、小さい頃からずっとわらわの面倒見てくれてたから、ほんとのお兄ちゃんみたいなもんなんだよ。頼りになるし」
「……あいつはそうじゃないみたいだがな」
言いながら、真砂は腕に力を入れる。
深成が、ちょっと暴れた。
「ちょ、ちょっと真砂。ちょっと離して」
少し真砂が腕を離すと、深成はくるりと背を向けた。
そして、ぺと、と背中を真砂の胸に引っ付ける。
「うん、ジャストフィット」
ちらりと振り向き、にこりと笑う。