小咄
「わらわ、このポジションが好き。わらわはうさちゃん抱っこして、後ろに真砂がいてくれれば、凄く安心」

「こうか?」

 真砂が後ろから、きゅう~っと深成を抱き締める。
 きゃきゃきゃ、と深成は嬉しそうに笑った。

「あんちゃんだと、こうはいかないんだよね。何だろ、力の違いかなぁ。う~ん、でも六郎兄ちゃんでも……きっと違う。ていうか、六郎兄ちゃん、こんなことしてくれないし」

 背後から真砂に抱き締められつつ、深成はぶつぶつ言う。
 背を向けているとはいえ、この状況がわかっているのだろうか。

「まぁ、あいつには出来ないだろうな。でも、お前からくっついていけばいいじゃないか。お前から行けば喜ぶぜ。あいつ、お前のこと好いてるみたいだしな」

 こんなに深成がくっついてくるのは、自分だけなのだろうか、と思い、真砂は六郎にけしかけてみる。
 深成の行動は謎なのだ。
 この幼い行動からは、深成が本気で好きなのが誰なのか、さっぱりわからない。

「そりゃ、ずーっと一緒だったもん。仲良しだし、嫌われてはないでしょ」

 当たり前のように、深成が言う。

「だから、別に俺じゃなくても、あいつにくっついて寝てもいいんだろ」

「だって六郎兄ちゃん、風邪っ引きじゃん」

「熱が上がってきたら、寒いだろ。温めてやろうとか、思わないか?」

「あれ、真砂、意外に優しい。六郎兄ちゃんのこと、心配?」

 くり、と振り向いて深成が言うが、真砂は思い切り眉間に皺を刻んだ。

「馬鹿。野郎のことなんざ、どうでもいい。俺にそんなにべったりくっついてくるぐらいだったら、あいつにくっついたほうが役に立つんじゃないか、と言ってるんだ」

「そうかもしれないけど、う~ん……。違うんだな~」

 小首を傾げ、深成はちょっと考えた後で、じ、と真砂を見た。
 そして、再びごそごそと真砂にくっつく。

「……真砂がいい」

「ま、俺は別に健康体だからな」

「違うよ。そんなんじゃなくて、真砂がいいんだもん。六郎兄ちゃんよりも、真砂のほうがいい」

 六郎が聞いたら立ち直れないかもしれないセリフを吐き、深成は真砂の腕の中で小さくなっている。
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