小咄
---鍵は、深成ちゃんがどこで寝てるかってことよね……---
そろりそろりと、あきは深成の部屋へと近づいた。
部屋の前まで来ると、きょろ、と辺りを見渡してから、そろぉ~っと耳をドアに近づける。
非常に怪しい。
鋭い真砂にも気付かれないよう、細心の注意を払ったつもりだったが、あきの耳が深成のドアに触れた途端、少しだけドアを押してしまった。
その瞬間。
がこんっ! という音と共に、足元の床が消えた。
「きゃーーーっ!!」
油断していた。
深成が入居したとき、一番初めに仕掛けられていた罠だ。
幸いこの罠自体を知っていたため、足元が消えた瞬間に、何が起こったか理解できた。
そのお蔭で、間一髪ドアノブにしがみつくことが出来たので、落ちることは免れた。
が、叫び声を上げてしまったので、すぐに真砂の部屋のドアが開く。
「わっ! あきちゃん、大丈夫~?」
顔を覗かせた深成が、自分の部屋のドアノブにぶら下がっているあきを見、慌てて飛び出してきた。
同時に深成の部屋の中でも、誰かが動く気配がした。
「あっ! 六郎兄ちゃん! 駄目だよ! ちょっと中で大人しくしてて! ノブに触らないでね」
深成が自分の部屋に向かって叫ぶ。
その言葉に、あきの目尻が下がった。
---はは~ん。やっぱり深成ちゃんの部屋に寝てたのは六郎さんね。そっか、深成ちゃん、思いっきり真砂さんの部屋から出てきたじゃない---
あらあらこれは、とほくそ笑む。
ドアノブにぶら下がっているというのに、そんなことよりも美味しい状況のほうが優先だ。
「あきちゃん、大丈夫? 登れる?」
深成が手を差し出す。
そこでやっと、あきは己の状況を理解したように、よいしょ、と足を持ち上げた。
「ん~……。ちょっと変なところ持っちゃったなぁ」
持っているのがドアノブのため、安定しないのだ。
困っていると、ようやく真砂が顔を出した。
そして、ぶら下がっているあきを見て、顔をしかめる。
「何でお前が引っかかってるんだ」
ぼそ、と言う。
どうやらあき用に仕掛けたわけではないらしい。
が、今日に限っては深成用でもないはずだ。
仕掛けは深成のドアにあった。
ドアを動かせば、床が消えるのだ。
ということは……。
「もぉっ。真砂、またこんな罠仕掛けて。わらわ、もう引っかからないでしょ」
頬を膨らませてぶーぶー言う深成を無視し、真砂は穴を回り込んで、あきの横に来た。
そして、しゃがみ込むと同時に、ぐい、とあきを引き上げる。
---わお、新鮮---
ちょっと頬を赤らめながら、あきは大人しく真砂に引き上げられた。
真砂に助けられることなど、通常では皆無だ。
「大体、いつ仕掛けたのさ~。昨日寝るときは、まだこんなんなかったよ?」
ぶつぶつ言いながら、深成が自分の部屋のドアを開けた。
ドアの前に、六郎が立っている。
音だけでは何が起こっているのかわからず、戸惑っていたようだ。
そろりそろりと、あきは深成の部屋へと近づいた。
部屋の前まで来ると、きょろ、と辺りを見渡してから、そろぉ~っと耳をドアに近づける。
非常に怪しい。
鋭い真砂にも気付かれないよう、細心の注意を払ったつもりだったが、あきの耳が深成のドアに触れた途端、少しだけドアを押してしまった。
その瞬間。
がこんっ! という音と共に、足元の床が消えた。
「きゃーーーっ!!」
油断していた。
深成が入居したとき、一番初めに仕掛けられていた罠だ。
幸いこの罠自体を知っていたため、足元が消えた瞬間に、何が起こったか理解できた。
そのお蔭で、間一髪ドアノブにしがみつくことが出来たので、落ちることは免れた。
が、叫び声を上げてしまったので、すぐに真砂の部屋のドアが開く。
「わっ! あきちゃん、大丈夫~?」
顔を覗かせた深成が、自分の部屋のドアノブにぶら下がっているあきを見、慌てて飛び出してきた。
同時に深成の部屋の中でも、誰かが動く気配がした。
「あっ! 六郎兄ちゃん! 駄目だよ! ちょっと中で大人しくしてて! ノブに触らないでね」
深成が自分の部屋に向かって叫ぶ。
その言葉に、あきの目尻が下がった。
---はは~ん。やっぱり深成ちゃんの部屋に寝てたのは六郎さんね。そっか、深成ちゃん、思いっきり真砂さんの部屋から出てきたじゃない---
あらあらこれは、とほくそ笑む。
ドアノブにぶら下がっているというのに、そんなことよりも美味しい状況のほうが優先だ。
「あきちゃん、大丈夫? 登れる?」
深成が手を差し出す。
そこでやっと、あきは己の状況を理解したように、よいしょ、と足を持ち上げた。
「ん~……。ちょっと変なところ持っちゃったなぁ」
持っているのがドアノブのため、安定しないのだ。
困っていると、ようやく真砂が顔を出した。
そして、ぶら下がっているあきを見て、顔をしかめる。
「何でお前が引っかかってるんだ」
ぼそ、と言う。
どうやらあき用に仕掛けたわけではないらしい。
が、今日に限っては深成用でもないはずだ。
仕掛けは深成のドアにあった。
ドアを動かせば、床が消えるのだ。
ということは……。
「もぉっ。真砂、またこんな罠仕掛けて。わらわ、もう引っかからないでしょ」
頬を膨らませてぶーぶー言う深成を無視し、真砂は穴を回り込んで、あきの横に来た。
そして、しゃがみ込むと同時に、ぐい、とあきを引き上げる。
---わお、新鮮---
ちょっと頬を赤らめながら、あきは大人しく真砂に引き上げられた。
真砂に助けられることなど、通常では皆無だ。
「大体、いつ仕掛けたのさ~。昨日寝るときは、まだこんなんなかったよ?」
ぶつぶつ言いながら、深成が自分の部屋のドアを開けた。
ドアの前に、六郎が立っている。
音だけでは何が起こっているのかわからず、戸惑っていたようだ。