小咄
 じ、と深成を観察するあきに、深成は、ん? と首を傾げた。

「え? ああ、えっと、何て?」

「だから、合コンでお友達出来た?」

「……」

 合コンは『お友達』を作る場所ではないのだが。
 いや、友達にもいろいろあるから、あながち間違いでもないのかもしれない。

 しかし如何せん、言っているのが深成である。
 深成に関しては、本当の、単なる『お友達』という意味だろう。
 『友達百人出来るかな♪』のレベルに違いない。

「あのね深成ちゃん。合コンってのは、彼氏彼女を探す場よ。恋愛対象の相手を探す場なの」

「そうなんだぁ~。でも、似たようなもんじゃん? 初めて会う人もいるんでしょ? そんなの、お友達からスタートするもんじゃないの?」

 堅実なんだか、単なるお子様なんだか。

「うんうん、そうだよ~。深成はそれでいいんだよ~。そうそう、羽月が残念がってたよぉ? 羽月なんてどう?」

 話題が自分から逸れたことに安心し、一気に酔いの回った捨吉が、ぽん、と深成の肩を叩いて言った。

「はづき? て誰?」

 きょとん、と首を傾げる深成の横で、真砂がちらりと視線を動かした。

「俺の後輩~。清五郎課長のとこの、下っ端だよ~」

「おいおい、下っ端はないだろう。あいつもあいつなりに頑張ってるぜ。……それはともかく、あいつ、派遣ちゃんに惚れてるのか?」

 清五郎が、面白そうに身を乗り出した。
 捨吉はへらへら笑いながら、ぽんぽんと深成の頭を叩く。

「んにゃあ、あいつと深成だったら、お似合いかなぁ~と思って。んでも、何かやっぱり駄目だな~」

 撫で撫でと深成を撫でながら、捨吉はしきりに頷いている。

「深成は可愛いから、あいつには勿体ないや」

「捨吉が個人的に好いているわけではないのか」

 にやにやと、清五郎が言う。
 確かに普通であれば、このようにべたべたしつつ可愛いと言えば、その子を好いていると思うだろう。
 が、目の前の二人に関して言えば、そういう甘やかさは皆無だ。

 だが、あえて清五郎は突っ込んでみた。

「え~? う~ん……。可愛いけどぉ~……」

 不躾に、まじまじと深成を覗き込む。
 その捨吉の目の前で、深成は、ぷぅ、と頬を膨らませた。

「けど、何なのさ~。あんちゃん、たまに失礼だよね~っ」

「あははは~。ごめんごめん。うんうん、深成は可愛いよぉ~?」

 一番酔っ払っている二人だ。
 一つの話題が続くこともなく、あははは~と笑い合っている。
 清五郎は、軽く肩を竦めた。

「派遣ちゃんってのも面白いな。うちにも入れようかな」

「こんなんが増えたら、大変なだけだぜ」

 熱燗を注ぎながら、憮然と真砂が言う。
 違いない、と清五郎は、お猪口を口に運んだ。
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