傷ついてもいい
結婚式
照りつける太陽が少しマシになってきた9月の終わり。

佳奈は、実家に帰り、由奈の部屋の片付けを、手伝っていた。

「これは?もっていく?捨てる?」

子供の頃からのアルバムや大切にしているヌイグルミ達。化粧品や派手なカバン。
すぐには、使わないような物や必要のないものを選り分けていく。

「あーそれは、いらない。あ、そのダッフィーちゃんは持っていく!」

由奈は、まだそんなに目立たないけれど明らかに大きくなってきたお腹をさすりながら佳奈をアゴで使う。

「まったく、いらないもんばっかり溜め込んでんだから!ちゃんと普段からしてないからこういうことになんのよ」

佳奈は、怒りながらも由奈との時間が楽しくてしかたなかった。

「だってえ、忙しかったんだもん。式の準備とか。産婦人科の検診もあったし」

「はいはい、もうわかったよ。何でもやったげるから、元気な赤ちゃん産むんだよ」

佳奈は、由奈のお腹を優しく撫でながら言った。

「けど、ほんと太ったよね、由奈」

佳奈がクスクス笑うと由奈は、丸くなった顔を、更にぷうっと膨らませて拗ねた。


「だって、悪阻終わってから、お腹空いてしかたないんだもん。甘いものとかフルーツばっかり欲しくなって」

「そういうもんなんだ」

「そうだよ。お姉ちゃんも経験すればわかるよ」

「そっか、そん時は由奈に色々教えてもらおう」

二人でワイワイと楽しく会話をする。

こんな時間は、本当に久しぶりだった。
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