傷ついてもいい
夕方。仕事を終えて、帰り支度をしているとメールが入った。

『今日、呑みで遅くなるから、鍵開けといてね』

直己からだった。

『了解』と返信してから職場を出る。

直己は、普段、大学が休みの時や早く終わる日は、イタリアンの店で働いている。

一度、こっそり店に行ったことがあるが、ウエイター姿が恐ろしく似合っていて改めてときめいてしまった。

いつも夕飯は、その店で賄いを食べてくるので、あまり二人で夕飯を食べることはない。

けれど普段、料理をあまりしない佳奈は、それも助かっていた。


今日は、面倒だし、牛丼でも買ってかえるかな。

電車を降りて、考えながら歩く。

牛丼屋の前まで来て、スーツ姿の男の人と一緒になった。


「あ、すいません」

肩が当たりそうになり、その人を見た。

「あ、れ?斎藤さん?」

「あ」

斎藤は、どうも、と頭を下げた。







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