傷ついてもいい
変化
仕事から帰ると由奈はもういなかった。

直己に頼んでおいたから、おそらくお昼ご飯くらいは付き合ってくれたに違いない。

後で母親にメールをいれなくては、と思いながらお風呂にお湯を入れた。

直己は飲み会で遅くなると連絡があったので、佳奈は夕食と風呂を済ませたあとひとりでぼんやりとテレビを観ていた。

お笑い芸人が司会をしていて、テレビの中は大騒ぎなのに、なにひとつ佳奈の耳には届いてこない。

頭の中で斎藤のことと直己のことを考えていた。

自分の将来のことを考えたら、斎藤といるのが自然だし、相応しいと思う。

少し前に進まなくちゃ、だよね。私達。

佳奈は、斎藤と自分が重なった。

携帯を取り出して、ドキドキしながら斎藤の番号を押した。





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