傷ついてもいい
直己は、着ていたTシャツを脱いで、上半身、裸になっている。

佳奈は、タオルを絞って直己の背中を拭いてやった。

就活の為に短く切った髪のせいで、首筋が綺麗に見えている。

細いけれど肩幅は広く、腕にも意外と筋肉がついていて、着痩せするタイプなんだ、と佳奈は思った。

「おー、気持ちいいっ」

直己は、感嘆の声をあげる。

「そう?」

「うん!最高」

「そんなに気持ちいいんだ」

佳奈は、楽しくなってくる。

「うん!佳奈さんもやったげようか?」

「ばーか」

「ダメか」

アハハと二人で笑う。

佳奈は、この背中にこのまま抱きついてしまいたかった。

…好きだよ…

「佳奈さん」

「ん?」

「俺、そんな大きいとこじゃないけど、商社に就職、決まりそうなんだ」

「え?そうなの?!良かったじゃん!」

佳奈は嬉しくなって、直己の背中をぺちぺちと叩いた。

「いてえよ、佳奈さん」

「あ、ごめん」

「だから、もう出ていくね」

「え…」

佳奈は、言葉を失った。
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