傷ついてもいい
二人で、斎藤が買ってきてくれた牛丼を食べた。

斎藤は、今日あった少し面白い出来事を楽しげに話してくれる。

佳奈は、牛丼をお茶で流し込むようにしながらそれを聞いていた。


「佳奈?なんか元気ないよな?」

しばらくして、斎藤が不意に言った。

「え?そうかな」

「うん。仕事でなんかあった?」

「あ、うん。ちょっと」

佳奈は、半分残った牛丼に蓋をする。

「俺で良かったら聞くよ。誰かに話すと楽になることもあるだろ?」

斎藤は、優しく言ってくれた。

「うん…あのね。仲の良かった学生の女の子がいてね」

佳奈は、少しだけ嘘をついて、今日あった出来事を斎藤に話した。


斎藤は、聞きおわって、ふうん…と頷いた。

「そりゃ、その子の言うとおりだよ。誰にでも事情がある。家族でもないのに、こちらから侵入するのは、違うんじゃないか?」

斎藤に淡々と言われて、佳奈は、よけいに気分が沈む。

「そうだよね」

「うん。しょせん他人だろ?佳奈が、その子を養女にでもするんなら別だけど」

「あはは…それはないよね」

佳奈は、無理に笑って気持ちをごまかした。

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