もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


私は今、カラオケにいる。



歌を歌うわけでもなく、目の前には不機嫌な顔したジュンが座ってる。



遼ちんのお店を出てから、会話は交わさないままジュンの後をついてきたら、ここに辿り着いた。



ジュンの背中からは話し掛けるなオーラがムンムンと出ていて、向かい合った今も無言の状態が続いていた。



瑠伊とはよく歌わずに何時間も喋ることはあったけど、こんな状態は勿論生まれて初めてで……



普段は気にしないことが、やたらと目についた。



ソファーや壁紙はお洒落に統一されているけれど、窓の冊子を見ると意外と、建物事態は古いんだなとか……



カラオケっていうくらいだから、各部屋が防音になってるのかと思いきや、隣の歌声は丸聞こえ。



耳を澄ませば、喋り声まで聞こえてくる始末。



それにしても、なんでカラオケなんだろう。



この間のリュウの一件があったばかりだから、別の場所にして欲しかった。



何故カラオケ?っていうことくらい聞いてみてもいいのかな……



てかさ、私がジュンの顔色を伺う必要があるわけ?



私は悪くないんじゃなかった?



絶対、洗脳だ。



危ない、危ない。



完璧に洗脳される所だった。



ジュンの洗脳から目覚めた私はすぐに口を開いた。



「私、帰るわ」



ジュンと仲良くカラオケなんて気分じゃないし、ジュンだって、そんなことしたいようには見えないし。



こんな風に気まずい時間を過ごしていたくない私は鞄を持ち、立ち上がった。



そもそも、ジュンはなんで今日私に会ったのかすらわからない。



「どこ行くんだよ?」



「帰る」



「契約しただろ?」



それはあんたが勝手にねって言おうと思ったけど、やめた。

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