もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

「純麗ちゃん?なんか、暗くない?やる気満々なの隠そうとしてる?」



だから、私は何に対してやる気満々なんだか……



「隠しても、無駄無駄。俺って昔から、人の気持ちを勘ぐるの得意なんだよね!」



「勘ぐるじゃなくて、察するじゃない?」



「えっ?そうなの?似たようなもんじゃん」



察してないと思う。



リュウはどちらかというとKYなんて呼ばれちゃう部類で、


K(空気)Y(読めない)というか


K(勘違い)Y(ヤロウ)って感じ。



こんなこと考えてるなんて、口がさけても言えないけどね。



思考回路がリュウと同じになってきたんだ、きっと。



リュウに侵され始めてる。



というか、もう末期かも。



リュウウィルスは進行が早いらしい。



「飲んだなら出よう」



季節限定商品を堪能した私達は店を出た。



「ち、ちょっと待って!」



店を出ると、スタスタと歩いて行ってしまうリュウ。



いつもは余計なことまで喋ってるのに、なんで無言?



この後の予定を聞きたいけど。



私の呼び掛けに振り向いたリュウは、


「何?」


と、機嫌が悪いような声を出す。



「これからどこ行くの?」



少しだけあいた二人の距離を縮めるために、私は小走りでリュウへと近づいた。



「えっ?なに?純麗ちゃん忘れたの?今日はお揃いのキーホルダー買いに行くって言ったよね?」



「それはわかってるけど」



「じゃあ、何?」



「い、いやさ……買いに行くって行っても……どの辺っていうか、店、うん。店、決まってたりするのかな?って思って」



こんなふうに機嫌が悪いというか、怒ってるリュウは初めてで、私はあからさまに動揺してしまった。



「店なら決まってる。着いてきて」

< 264 / 342 >

この作品をシェア

pagetop