もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「乗り気じゃない?」
返事もせず、動こうともしない私に再び透の優しい声が聞こえてくる。
「そういうわけではない。でも、乗り気なわけでもない」
「ハハッ。そうか、正直だな」
透が何歳かはわからないけど、少し歳が違うだけでこんなにも“大人”だと感じてしまうんだ。
同級生ではこうはいかない。
「はぐれちゃいそうだし、そろそろ俺達も行こう」
私はコクリと頷き、差し出された透の手になんのためらいもなく自分の手を重ねた。
“落ち着ける”
それが透の第一印象だった。