月光花

 成美の診察は長時間掛かることが多いので、このまま待っていても時間だけが過ぎてしまうので俺は帰ることを選択した。

 それにネットカフェで友人を待たせているので、其方を優先しないといけない。

 俺は帰宅の意思を成美に示すと、病室から退室する。

 一言、医師と看護士に「宜しく」ということを言わないといけないだろうが、無言を突き通す。

 成美の具合が徐々に良くなっていくというのなら感謝してもいいが、現状より悪化している今、彼等に感謝はできない。

 不時の病ということで諦めているが、誰かに八つ当たりをしないと持たない。

 だが、それを言葉に表すことはしない。それを行ってしまったら、成美が悲しんでしまう。だから俺は、違う道を選んだ。


◇◆◇◆◇◆


駅前にあるということで、ネットカフェは予想以上に混雑していた。使用している人間の年齢に統一感はなく、多くの者が利用し個々で楽しんでいた。

 一体、何を調べているのか。

 彼等は、何を楽しんでいるのか。病院で切ない体験をしてきた俺にとって、笑い声が耳障りであった。

 しかし、無駄な争いを生み出したくないので感情を露にはしない。俺は携帯電話で話しながら、友人の姿を捜す。

 最初は場所の特定に手間取ったが、友人の電話口の案内で見付けることができた。

「おっ! 来たか」

「もっと、ゆっくりしてくればいいのに」

「医者の診察がはじまった」

「なるほど。で、見つかったぞ」

 その言葉に、俺はパソコンの画面を凝視する。画面に表示されていたサイトは、個人が作成したもので、全体的に暗い色彩を多用している。

 これは、一般的に言われている「裏サイト」というもので、ネットの深い部分を探れば〈月光花〉の情報を得られると確信した。

「場所は、廃屋?」

「これって、裏町の地図だよな」

「間違いない。確か住宅地になる予定で工事が進められていたが、おかしな現象が続いて中止になったと聞いたぞ」

 その話は、俺も聞いたことがあった。数年前、古い建物を全て壊し綺麗に整地を行っていた。

 そして整地した後にマンションを複数建設し、多くの人を集めようとしていたが度重なる事故が続いたという。

 噂では道祖神を祭る社を壊した祟りといっていたが、真相は定かではない。

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