バスボムに、愛を込めて


心臓を銃で撃ち抜かれた――なんてもんじゃない。特大バズーカを至近距離で撃たれたような衝撃があたしを襲った。

一ミリ以下でもなんでもいい。
大好きな本郷さんが、あのクールな本郷さんが、あたしを可愛いって、そう思ってくれたの?


「メシにしよう」


そう言われて、あたしの持ってきたレジャーシートを砂浜に敷いて二人で座った。

あたしはさっきの“可愛い”発言以降使い物にならないから、ほとんどの準備をしてくれたのは本郷さんなのだけど。


「お前さ」

胸が一杯でちっとも箸の進まないあたしに、本郷さんが話しかける。


「こないだ兄貴がいるって言ってたよな」

「あ……はい。四つ上の兄と、二個下の弟がいます」


少しだけギクリとしたのを隠しつつ答えた。

こないだの“兄”は、孝二のことだけど……お兄ちゃんがいるのは嘘じゃない。


「……俺にも年子の兄貴がいるんだ。で、ここはよく二人で遊んだ思い出の場所」


おにぎりやサンドイッチを早々に食べ終えた本郷さんは、ゴミをまとめたビニールをきゅ、と縛り、昔を懐かしむように言った。

本郷さんのお兄さん……ってことは、きっとまたすごいイケメンなんだろうなぁ。


「今でも、たまに会ったりするんですか?」


< 100 / 212 >

この作品をシェア

pagetop