バスボムに、愛を込めて


「いえ! あの、一旦桃は忘れて下さい! 本郷さん、お疲れさまです」

『……ああ。今、平気か?』

「ももももちろん!」


本郷さんに見えるわけもないのに、コクコク頷くあたし。

しかも、またどもっちゃったよ……

自分の不甲斐なさに若干落ち込んでいると、耳元で空気の震える音が。

もしかして、笑ってる?


『……だから桃がどうした』


言いながら、くつくつ笑っているのが聞こえる。

本郷さんが、笑った〜!

その原因はあたしが抜けてるせいだし、よりによって今いるのはトイレっていう色気もなにもない場所。
それでも本郷さんの笑い声はあたしの胸をあったかくして、彼への恋心をまた一段と成長させる。


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