バスボムに、愛を込めて


「じゃあなおさらデートでぐっと距離を縮めなきゃね! で、どこ行くんだっけ?」

「海」

「わぁぁ、いいね! お弁当とか作ったりしちゃうの?」


――手作り弁当。

あたしはカレーのスプーンをカチャンとお皿に置いた。

それは盲点だったよ麻里ちゃん! 目からカレー出そう! じゃなくて鱗落ちそう!


「ざ、材料買いにいかなきゃ!」


急に椅子から立ち上がったあたしを、麻里ちゃんは呆れたように見てから笑った。


「行ってらっしゃい。今晩から少し用意しとかないと明日の朝慌てることになるもんね。ここのお金は私が払うからいいよ、明日デートを頑張る美萌の激励会ってことで」

「ありがとー麻里ちゃん! 麻里ちゃんに好きな人ができたら今度はあたしが払うから!」


せわしなく店をあとにするあたしを、麻里ちゃんはヒラヒラ手を振りながら見送ってくれた。

やっぱり持つべきものは友! お弁当だなんて、全然気がつかなかったよ〜!

あたしは息を切らせながら夜の街を走り、一目散にスーパーを目指した。


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