バスボムに、愛を込めて
「いいですね。いつまで見てても飽きないし」
「そうだな……でも、腹が減った」
「お弁当ならそこに――」
コンクリートの堤防に置いてあるバスケットを振り返るあたしを、本郷さんは一刀両断。
「それは食わない」
やっぱり、ね。わかってて言ったから、今度はショック受けないですよーだ。
「……ですよね。さっきのコンビニでご飯買ったんですか?」
「ああ。……言い訳をさせてもらうなら、コンビニの飯って言うのはちゃんと衛生管理された工場で作られてるから平気なんだ。お前弁当作るとき、手袋とかマスクとか帽子とかしなかっただろ?」
「そりゃ、まあ……」
「だから俺に何か食わせたかったら、そういう味気ない格好して料理しなきゃダメってことだ。……面倒だろ? 俺が女だったら絶対にお断りだこんな奴」
冗談めかして言っているけど、彼の笑顔はぎこちないように見えた。
その表情に何故だか胸をぎゅっと締め付けられたから、あたしは本郷さんのシャツを控えめにつかみ、くい、と引っ張って口を開く。
「あたしは、一応女ですけど、そういう本郷さんでも好きですよ?」