情熱効果あり
「あたしだって、一緒に寝たことないし、潰されるかもしれない」


おかしなことを言われて焦った私は余計におかしなことを言ってしまった。


「アハハ!大人の麻衣ちゃんが潰されることはないでしょ?哲志くん、太ってないし、寝相も悪そうじゃないしね」


「そうだよ、麻衣。さすがに麻衣を潰せないよ」


大笑いするお兄さんに対して、冷めた声で言い返す哲志先輩に焦った自分が恥ずかしくなった。


哲志先輩の言葉に動揺するなんて、私らしくない。哲志先輩の言うことに深い意味がないのは、いつものことなのに。



「バイバーイ。またね!」


食後、哲志先輩は蓮との約束を守って電車で遊んでいた。

蓮と蘭は、今度来るときは泊まってくれるということに、飛び跳ねて喜んでいた。


私はまた一緒に来なくてはいけないことに気が重くなった。
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