情熱効果あり
「いえ、別に何もないですし、いつもと変わらないつもりですけど…」


「そんなことないわよー。哲志くんが話し掛けようとするといつもどこか行ってしまうじゃないのよ。哲志くん、切ない目をしてたわよ」


「切ない目ですか?」


哲志先輩の切ない目なんて、想像出来ない。


「そうよ。絶対何かあったでしょ?」


「まあまあ、2人しか分からない何かがあったかもしれないし、言いたくないことかもしれないんだから、詮索するのはやめなよ」


うん、うん。藤田さんの言葉に頷く。分かってくれる人がいると助かるし、心強い。


「でもねー、麻衣ちゃんには背中を押してあげる必要があると思うのよ」


「え?」


「哲志くんとちゃんと向き合ってみなさいよ。逃げていても何の解決にもならないし、後悔しても知らないわよ」


私よりも人生経験がある局長のアドバイスは的確だ。
< 155 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop