情熱効果あり
「そうだね。特別拒む理由がないなら、向き合うことは大事だと思うよ。頑張って」


局長と藤田さんに背中を押された。順調な2人は、他人を応援することが出来る余裕がある。

今、自分のことしか見えていない私は何だか恥ずかしくなる。周りにも目を向けないといけない。



「ただいまー」


「おかえりなさい。…休憩入ります」


哲志先輩の昼休みは、後半だった。室内に入った時にすれ違う。


「行ってらっしゃい…」


「え?」


「え?…」


腕を掴まれて、立ち止まる。少し険しい顔した哲志先輩と向かい合う。


「何でしょう?」


「いや…麻衣の行ってらっしゃいを久しぶりに聞いたから、つい…」


先週までは普通に言っていた言葉も今週は言えないでいた。背中を押されたから、まず元のようにしようと心掛けてみたのだ。

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