情熱効果あり
どっちのだか分からないアルコールの味が口内に広がって、頭の中まで酔いが回ってくる。くらくらしてきた。


「麻衣。好きだよ」


「私も…好き…」


やっと離れた口からは愛の言葉が吐き出される。上がった息を整えながら、同じ想いがあることを伝える。


拒否しようと思っていたのに、拒否出来ない。結局、哲志先輩の思い通りになってしまった。でも、好きな人に求められるのは嬉しいことで、幸せだと実感する。


酔っているからと誤魔化すことはやめた。与えられる情熱を素直に感じて、女であることに喜びを感じる。


「哲志先輩、好き」


素直になった私は、溢れてくる想いを躊躇うことなく伝える。


「俺の方が、麻衣の100倍も好きだよ」


恥ずかしくなる言葉も素直に嬉しくて、「うん」と微笑んだ。
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