地の棺(完)
「ご、ごめんなさい!」


「とりあえず、足どけて」


状況が見えないから気付かなかったけど、わたしの足の下に、なにかふにゃっとしたものがある。


「ごめんなさいっ」


それが初ちゃんだと気づき、慌てて移動しようとした。

が。

左足首から体に走る痛みのせいで、身動きが取れない。


「おい、早くどけ……」


固まり、動こうとしないわたしに、しびれを切らした初ちゃんが声を荒げるが、言葉を途中できる。


「ご、ごめ……
足痛くて、うご、動かなくて」


落ちた衝撃で折れた?


何度も力を入れようとしては、痛みに顔を歪めた。


これじゃ動けない。


「……いい。僕が移動する」


そういうと、足が持ち上げられた。


「!」


痛みのあまり、声にならない悲鳴が漏れる。


「我慢しなよ。僕より年上でしょ? 一応」


棘があるけど、確かにその通り。

この状況に、ちゃんを巻き込んでしまったのはわたしだ。

初ちゃんが冷静なのに、わたしが取り乱すなんて。


「ごめ、ごめんなさい。
初ちゃん、大丈夫?」


「……ね、それより、ちゃん付けするのやめない?
女のふりしたのは僕だけど、不快なんだよね、それ」


「あ、うん。ごめん。
あの、体大丈夫?」


「全然大丈夫じゃないよ。あちこち痛いし、最悪。
蜜花のせいだからね」


蜜花って。

いつの間に呼び捨てに。
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