地の棺(完)
「ごめんなさい……」


「不注意で蜜花が怪我をするのは勝手だけど、僕を巻き込まないでよね」


顔は全く見えないが、初ちゃんがかなり怒っていることはわかる。

状況が良くないことも理解しているだけに、返す言葉がなかった。

その後、何度か初ちゃんが大声をあげたが、誰も来る気配はない。

暗すぎて、どのくらいの深さにいるのか、どんな場所なのかわからなかった。

完全な闇のなかでは動くこともできないし、途方に暮れる。


「マジで最悪だよ」


初ちゃんが大きなため息をつくのが聞こえる。


申し訳なくて、なにも言えないわたしに、


「蜜花、ここどこかわかる?」


と、話しかけてきた。


「穴の中?」


思ったことをそのまま返すと、先ほどより大きなため息が響く。


「マジ馬鹿。そういう誰にでもわかるようなことじゃなくてさー 本当、救いようがないね」


呆れた口調に、居た堪れない。


「ごめんなさい」


「あーーもう、すぐ謝るのもうっとおしい。
やめて、それ」


「ごめ……あ、ごめんな、あ、いや、その」


呆れたのか、初ちゃんは小さな声で「もういいや」というと話を戻した。



「ここはさ、巣穴なんだよ」


「巣穴?」


どこかで聞いたことがある言葉。

どこでだろう?


「生贄の巣穴。
志摩家の消したはずの過去だよ」
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