第7回ベリーズカフェ短編小説コンテスト「アナザーベリーズ」

『アナザーベリーズ』

結果発表

優秀賞 商品券3千円

『愛されるだけではだめよ』真白燈/著

突然現れた美しい男爵令嬢に婚約者の心を奪われ捨てられてしまう、憐れなヒロイン。

ありがちな始まりから一転、落馬により健やかな肉体も精神も失ってしまった婚約者。

そんな彼に仄暗い復讐心と確かな愛をもって接するヒロインのじっとりとした執着心から最後まで目が離せませんでした。

狂気的な愛ではなく、水面下で静かに進んでいく湿度を伴う雰囲気に、新たなアナザーの一面を垣間見たように感じます。

「愛されるだけではだめよ」というタイトルから感じられる、一枚上手なヒロイン像も魅力的でした。

優秀賞 商品券3千円

『麗しの旦那様、私の愛は重すぎですか?』雪野宮みぞれ/著

「好きな人と同じものが欲しい」「恋人の洋服を嗅いだことがある」という方は現実にも結構多いのではないかなと思いますが「使った○○も大切に保管」というとやや狂気的だなと感じます。

仕事ができて、旦那様が大大大好きなヒロインのしっかり者さ、健気さと合わさると「大人しそうな女性の裏の顔」感が強く出ていてキャラクターの個性が引き立ちます。

ヒロインの愛が強すぎる話…かと思いきやヒーローも同じような行動で「愛を感じるタイプ」というベリーズのらしさもありつつ「いやでもベリーズ“じゃない”!」が際立つお話でした。

秘密がバレてしまったヒロインの「片付けも出来ない妻だと思われたくなかった」というコメントが一層ゾワッとする感じで言葉選びもとても良かったです。

ライバル女性が「一般人」だったためにあまりヒロインの強さの見せ場が無かったので、ライバルにも別方向の「ヤバさ」があるとなおいいのではないでしょうか。

優秀賞 商品券3千円

『侯爵夫人の復讐』水川サキ/著

今回受賞した作品群の中では群を抜いてじっとりした悪意・陰湿さ・執着心を感じる、それでいてとても頭のいいヒロインたちには「人間らしさの嫌なところ」を感じてとても好感が持てました。

短編なのでサクサクよめる分量ではありますが、作中の時間軸を鑑みるとかなり忍耐強いヒロインとヒーローなので、アナザーが主題なのに、つい応援したくなるような、人を引き付ける力があると感じます。

この作品のテーマは「私たちは何もしていない」だったので最後に「うっかり毒を飲んだ人たちが死ぬまでじーっと見ててあげる、見てるだけでなにもしない」ような陰湿さが加味されるといち審査員としては更に好みだな~という主観に満ちた感想で受賞作に選ばせていただきました。

特別賞 商品券2千円

望まない結婚をした男性と浮気相手としての恋。

許されない恋に浸る二人は嫌悪感を覚えかねない設定ですが、タイトル通り薄紅色の空気を纏う切なさに溢れていて、引き込まれました。

彼女が募らせる可憐で儚い想いと、終わりを悟っていく心理描写は刹那的で美しかったです。

一方で、男性のセリフの数々が狡い…ズル過ぎる!ただ、一生忘れらない男性って、こういう感じなのかもな…と思わせられるキャラ立ちが印象的でした。

違う世界線で出会うふたりを見てみたいと思う、メリバの決定版!


「人間が怖いホラー」は作家さんの筆力が如実に表れますが、この作品は異彩を放っていました。

不倫相手の女がやばいやつだった、という要約すればよくある話なのですが冒頭の連続不審死事件とメインヒロインが繋がった瞬間に身体に走る衝撃たるや!まるで喉を切り裂かれるかのような感動を受けました。

主題は「恋愛アナザー」に違いないのですが、「サレ妻」「不倫」という昨今の人気テーマに近しいながらも「絶対に許さない」の感情が最高潮に高まる作品でした。みなさんも好きな人にはぜひ「あーん」をしてあげてほしいなと思います。

主人公がやや残念な男性、というところが少し勿体なく、もうすこし狡猾だったり逃げ惑ったうえでやっぱり逃げ切れなかった…という展開だとオチに波がついて読み応えが増すのではないでしょうか。


「俺の家とホテル、どっちが良い?」やけになって同期を誘ってみたものの、こんな展開になるなんて。

日常に起きた「絶望」と「救い」が軽いタッチで親しみやすいセリフ運びで書かれており、読んでいくうちにこちらの傷も癒してくれるような優しい世界が広がっていました。

自暴自棄にならないとできなかったこと、直接言いづらいことを代弁させること、登場するそんなエピソードは、不器用で、リアリティがあって、愛おしかったです。

作品にこめるテーマを間接的に表現するのがとてもお上手だと感じました。──日本のどこかで、夕暮れ時に、並んで歩く二人を見かけたいです。


シンプルなタイトルですが、読み終わると色んな意味が込められているように感じ、余韻が強く残る作品でした。

マリッジブルーに陥る女性の話は太古の昔からあった気がしますが、事実婚ブルーという背景がとても現代的で、考えさせられます。

平穏だった暮らしから、たった数か月の間に起きた数々の出来事により、人間の気持ちに与える影響が、うまく表現されていました!

起承転までハラハラと読み進め、結末はまさに「アナザー」で、モヤっと部門としての推し作品でした。


突然老婆に「どうもそなたの恋愛の結末はよろしくない」と声をかけられたヒロイン。

愛する人を救うためタイムリープするお話しは昨今よく見かけるようになりましたが、なんとも酷い、苦しい、「運命」の中にいるお話しで、「アナザー」ならではだと感じました。

審査会ではフェチを完全に掴まれたメンバーもおり、ぜひピックアップしたいと盛り上がりました。

胡散臭い老婆に駅前で声をかけられる人々…他にもシリーズで読んでみたいです…!


衝撃的でサスペンスな描写から始まり、冒頭からぐっと話の中へと引き込まれました。

結婚間近だった婚約者を殺めた犯人は誰だったのか、少しずつ明らかになっていく真実とは。しっかりと練られたストーリーにより、短編でもまるでドラマを見ているような読み応えを感じられました。

ラストの展開がやや薄味な印象を受けたため、綺麗にお話がまとまったと思いきや…といった衝撃があるとより「アナザー」として深みが増すのではないでしょうか。

最終選考に残った作品

編集部からみなさんへ紹介したい!ピックアップ作品

第7回となったベリーズカフェ短編コンテスト。

今回のテーマは2年6か月ぶりの「アナザーベリーズ」

久しぶりの開催ということもあり、短編コンテストの中で過去1番の応募数となりました!


今回のコンテストはとにかく多種多様!それぞれ違った魅力をもつ、個性豊かな作品を数多くご応募いただきました。

いつものベリカフェではなかなか味わうことのできないストーリーや設定から様々な可能性を感じます。


また、惜しくも受賞には至らなかったけれど、読者の皆さんにぜひ読んでいただきたい作品も多くございましたので、ピックアップ作品としてご紹介させていただいております。


次回の短編コンテストは開催準備中です。開催は年明けを予定しています。

皆さんに楽しんでいただけるテーマを絶賛企画中ですので、今しばらくお待ちくださいませ!

エントリー期間

2023年7月3日(月)~2023年9月30日(土)

コンテスト概要

なんと2年6ヵ月ぶりに登場!第7回のテーマは「アナザーベリーズ」

いつものベリーズカフェとは異なる雰囲気の作品を大募集します!


隔月開催で様々なテーマの作品を募集していきますので、

「長編小説の完結はハードルが高い」

「普段とは違うテーマの作品を書いてみたい」

という作家さんも、ぜひ気軽に参加してみてくださいね♪


テーマに沿ったものであれば、既存作品でのエントリーもOK!ご応募お待ちしております。

運営の “こんな作品読んでみたい!”


#メリバ #バッドエンド #ヴィラン

#ワルい男 #悪女 #オメガバース 

#アラフォー #アラフィフ #イケオジ

#枯れ専 #極道 #シリアス #ミステリー

応募要項

最優秀賞(1作)

商品券1万円


優秀賞(作品数未定)

商品券3千円


※該当作なしの場合もあります。

応募資格

不問(プロ、アマ、年齢等一切問いません)

応募方法

STEP1

エントリーしたい作品の【作品編集】から、【設定】画面のコンテスト応募第7回ベリーズカフェ短編小説コンテストを選択します。

STEP2

エントリーする作品のあらすじを入力してください。

STEP3

ページ最下部の【設定を保存する】ボタンを押すとエントリー完了です。

  • 事前にBerry's Cafeに会員登録の上、作品投稿をお願いいたします。
  • あらすじとは、ストーリーの全容、登場人物の設定や大きな流れを簡潔に明記したもので、あらすじの内容を元に審査を進めさせていただきます。
  • コンテスト応募のあらすじは、他のユーザーには公開されません。(エントリー締め切り日まで編集できます。)

原稿枚数

「Berry's Cafe」上で、作品本文を文字数3万2千字以内に収めてください。

(1ページの最大入力可能文字数は1万5千字です。)

※あらすじの文字数(400字程度)分については、審査時はカウントいたしません。

対象

応募サイト「Berry’s Cafe」で読むことができ、完結設定をされている作品


以下に該当する作品のエントリーは不可となります。

  • 「Berry's Cafe」の規約に反するもの
  • 過去に書籍化されたもの
  • 書籍化の予定があるもの
  • 本人以外に著作権及び著作隣接権があるもの
  • 現在開催中である他の文学賞に応募しているもの
  • そのほか当編集部が不適切と判断したもの

注意事項

  • 複数作品のエントリーを可とします。
  • 新作を推奨しますが、テーマに沿った作品であれば、既存作品での応募も可能です。
  • 完結締め切り後の作品内容編集は、誤字脱字の修正のみ可とします。番外編等の追加を含む大幅な内容の編集をされた場合、失格となります。なお、完結締め切り後に作品掲載ポリシー違反が発覚した場合も同様に失格となります。
  • 受賞作品以外の作品につきましては、選評を差し上げる予定はありません。

スケジュール

  • 2023年7月1日(月)エントリー開始
  • 2023年9月30日(土) エントリー及び完結締め切り
  • 2023年11月上旬頃 結果発表

※スケジュールは変更になる可能性がございます。

諸権利

受賞作品の出版権、雑誌掲載権、インターネット上への掲載権、コミカライズ権、映像化権等は、スターツ出版株式会社に帰属します。受賞作品の全部または一部を、スターツ出版が発行・運営する紙面、インターネット・スマートフォン向けサイトに掲載することがあります。

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