すれちがい
第2章 健一
 中一のころ、同じクラスの女の子に告白された。ガキだったオレは、好きだと言われても、どうしたらいいかわからず。どう返事したらいいのかもわからず、
 
「だから?」
 
と聞き返してしまった。それが「オレが優里をふった」ということになってしまったらしい。
 
 その後もどう接していいかわからず、優里とは話しもしなくなった。
 
中二は違うクラスになってほっとしていたが、中三で、また同じクラスになった。
 
 優里は中一のガキの頃より、大人っぽくなっていた。周りの何人かの男どもも、そわそわしていた。中二の時、仲が良かった大地が、オレのそばに来て言った。
 
「なあ、お前、優里のこと、どう思ってんの?」
 
「どうって別に……」
 
「ほんとか?」
 
「なんでそんなことオレに聞くんだよ」
 
「お前が1年の時、優里をふったって聞いてさ」
 
「ああ、その話か……」
 
 何度か、いろんな人に聞かれるたびに、優里はモテるんだなと思った。こいつも優里のことを・・・。
 
 席替えで、優里の斜め後ろになったオレは、ぼんやり優里を見ていた。
 
確かに顔立ちはきれい。指なんかも、白くて細い。華奢な肩が弱弱しくて、モテるのも、なんとなくわかる気がした

「今、告白されたら、考えるのにな」
 
 そんなことを、うっかり口に出してしまったオレのことを大地が睨んでいる。それ以来、大地と口を利かなくなった。
 
 
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