【完】キミと生きた証


***


検査結果はよくはなかったけど、長期入院まで至らなかった。



でもしばらくは電車通学禁止だって。


そしたら瞬と喋れるのは、保健室だけ、かな。


退院して7月になった。


夏服のセーラー服があたしは一番好き。



だから夏はあんまり休みたくないなぁ。



「ちとせいますかー?」


休み時間になったら、天使くんが教室に来た。


「まったあいつかよ。」


「あの子ちーちゃんがいない間、ほとんど毎日来てたよ。ストーカー?」


「ちがうちがう!前倒れた時傍にいたから、心配してくれたんだと思う。」



「え!!そうなのか!」


「仁奈たち門前払いしちゃってたよ!」



天使君のところまで歩くと、天使君がにこにこ笑ってる。


「元気そうじゃん。」


「うん。あの日はありがとうね、駅員さん呼んでくれて。」




廊下にでると、風が入って気持ちいい。


「それに毎日、安否確認かな?教室に来てくれてたんでしょ?」


「まぁ。だってずっと休むからさ。」


「ありがとう。」



手を伸ばして、窓をもう少し開ける。



「風、涼しいね。」



って天使くんの方を見たら黙ってこっちを見てる。



「どうしたの?」



その答えを、天使君が大声で言った。







「ちとせの彼氏になりたいんだけど!」






廊下からでもわかるくらい、教室がざわめいた。



「・・・あ、ごめん、あたし彼氏がいるの。」


「知ってる。けど、俺もちとせのこと好き。」


「えーっと、ごめん。」


「考えといて!」



そう言って走っていった。


「ちょっと待って!」


考えるも何も、返事したじゃん!



角を曲がると、天使くんは見えなくなって、



だいたい、あたし彼の名前もしらないのに・・・。



教室に戻ったら、わっと盛り上がった。



「今の告白だよね!?ちーちゃん!?」


「どうすんのー?彼氏に言うの?」


みんななんかテンションが高い・・・。


「ちょっとー仁奈のちーちゃんいじめないでよぉ。」


仁奈ちゃんがあたしを後ろから抱きしめて、頭の上に顎を乗せた。


「ちーちゃん、返事したの?」


「勿論、断ったよ。でも・・考えといてって言われた。聞いてないよね」


「あの1年生、名前なんていうの?」


「わかんない。」


「「「えー!!」」」



退院後の一日目はそんな日だった。




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