社内恋愛なんて
更に会場は最上階を貸し切ったので、学生が誤って別の会場に行ってしまうことを防いでいる。


 会場の賃貸料は驚くほど高かったけれど、新卒採用は会社の宣伝も兼ねているので、多少高くても経費が落ちるのである。


 エレベーターに乗り、最上階へと向かう。


胸がドキドキと高鳴る。


もしかしたら、もう部長は来ているかもしれないと思うと、そわそわした気持ちになった。


 最上階に到着し、会場内に入ると、女の子3人が忙しそうに受付のセッティングをしていた。


彼女たちは私を見ると、笑顔で挨拶してくれた。


私も慌てて挨拶と自己紹介をする。


 ……今年も美人を揃えたなあ。


 思わず感心してしまうほど、彼女たちは全員美人だった。


新卒採用受付のために短期派遣契約で雇った彼女たち。


学生たちが最初に見る、会社の顔となる人なので、顔が綺麗というだけではなく素養もしっかりしている。


 短期とはいえ、説明会から面接までお世話になる方達だ。


こんな美人に囲まれて部長はこれから仕事するのだと思うと、どうせ私なんか、と卑屈な気持ちが出てしまう。


去年までは美人な派遣さんを見て、目の保養になるなあとオジさん臭いことを思っていたのに。
< 81 / 359 >

この作品をシェア

pagetop