ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】

すれ違い、歯車

晴人さんはご飯を食べ終わると「姫のところに顔を出してきます」と私よりも先に食堂を出て行った。

あたしは一人、冷えてしまったご飯を食べ食べていた。

それから翔太が晴人さんに言った言葉を思い出す。

翔太、確実に晴人さんのことを勘違いしている。どうにかそれを正してあげたい。

晴人さんは秘密にしていてほしいと言っていたけど、このままでいいわけがない。

家族を次々に亡くしてしまった翔太にとって、家族は大切で特別な存在だ。口には出さないけれど、家族を大切に思っている気持ちはそばにいれば伝わってくる。

きっと晴人さんも大切に思っている。翔太のことを誰より考えて、自分でいちばん辛い道を選んだ。

そのことを、なんて言ったら伝わるのだろう。

どう言ったら分かってくれるのだろう。

お互い、大事に思っているのに。

噛み合わない歯車みたいに、二人の距離は離れたままだ。

食事を終えて食堂を出ると、偶然翔太と出会った。


「あ…」

「お疲れ。飯を食べ終わったところだったか?」

いつも通り、変わらない翔太の顔。

穏やかな表情も、声も、あたしが好きな翔太そのもの。


それなのに、どうしてだろう。


今、翔太の顔が見れないの。


「由良、どうした?」

「何でもない」

何とかそう言うと、翔太はあたしの頭をわしゃわしゃと撫でる。「嘘つけ」と穏やかな声でそう言うんだ。
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